ふらりと書店に立ち寄り、タイトルや作家で興味を持ち、さらに目次なども確認してから文庫本や単行本を買うことが多い

 ▼先日も伊豆地区の書店で、タイトルに引かれて「不死身の特攻兵−軍神はなぜ上官に反抗したか−」(講談社現代新書)を購入した。特攻兵なのに死なない? しかも作者は劇団「第三舞台」を立ち上げた作家・演出家の鴻上尚史さん。疑問を抱きながらも読み進めた

 ▼陸軍特攻隊・万朶[ばんだ]隊の佐々木友次さんは、9回出撃し、全て生きて帰ってきた。参謀からの「必ず死んでこい」との命令に背き、飛行機で体当たりせず、爆弾だけを落とした。帰還後は罵声を浴びせられ、厳しく叱責もされたが、耐え抜いた

 ▼日露戦争の激戦地を生き抜いた父親の言葉「人間は、容易なことで死ぬもんじゃないぞ」が頭をよぎり、「無駄死にはしたくなかった」との秘めた思いもあって、出撃しても生きる道を探し続けたという。死ぬことが当たり前とされた時代、よく9回も実行できたなというのが率直な感想だ

 ▼きょうは「終戦の日」。生きたくても生きることのできなかった多くの戦没者を悼みつつ、恒久平和を祈る。同時に、生きることの素晴らしさを実感できる一日にもしたい。