俳聖・松尾芭蕉に、もうちょっと長生きしてもらって、存分に世界旅行をさせたかった―。エッセイストで俳人の江國滋さんが「俳句旅行のすすめ」(朝日新聞社)にそんなことを書いている

 ▼国外の旅先で詠むこつを「移動ごとに一句というノルマを自分に課す」「不愉快な目にあったら『しめた』と思え」などと挙げて各章をつづるが、あとがきで「カメラに頼るな」と書き添える。心に焼きつけたことを大切にせよ―という意味か

 ▼年末、やっぱりカメラは捨てがたいと思える写真に触れた。伊豆市のケーデザインオフィス・渡辺一夫さんが発行したスケジュール帳「伊豆半島手帖2019」にあった。伊豆各市町の四季折々の自然や行事、飲食店、人物などの魅力的なカラー写真をちりばめる

 ▼インスタ映えすることもあり人気を集める下田・田牛のジオサイト龍宮窟や伊東の大室山などがある中、特に西伊豆・田子瀬浜の透明度が高い青い海の色合いに引かれた。地元以外の伊豆の市町の魅力を案外と知らずにいることに改めて気付く

 ▼海外は難しいけれど、年に一度は国内を旅行したい。新年は江國さんの俳句旅のこつを参考にし、まだ見ぬ伊豆を旅して魅力を見つめ直してみたい。