前回、親族内承継として、株式を買い取る、株式を贈与、株式を相続で取得の三つの方法を紹介しました。もう一つ、信託という方法があります。

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 信託というのは、自己の財産の管理や運用を第三者(受託者)に委託する仕組みです。

 2007年に施行された改正信託法により、多様な信託の設定が可能となりました。

 信託では、財産を委託する人(委託者)、管理・運用を委託された人(受託者)、運用・管理により利益を得る人(受益者)の3人が主な登場人物です。

 委託者と受託者が同一(自己信託)、委託者と受益者が同一(自益信託)や、一定の場合には、委託者と受託者と受益者の全てが同一に設定することもできます。

 事業承継のために信託を利用する場合、会社の株式を信託財産として信託を設定することになります。

 会社の株式を所有すると、所有者である株主は、会社に利益が出た時に配当を受けるなどの経済的な利益を受ける権利を持つことになります。また、株主総会の議決権を持つことにもなります。

 株主総会は会社の最高意思決定機関ですので、会社の基本的事項や重要な方針は株主総会で決定します。この株主総会の議決権をより多く持つ人が、会社の経営権を持つことになります。

 信託を利用することで、事業承継のタイミングをコントロールできます。次回に続きます。

(小田原市・伊奈綜合法律事務所、伊豆の国市出身)