八重姫をイメージした子ども用の能面を寄贈する田中さん(右)=東松原町の東海館

 ■教室生のため軽量化 5月、祐親まつりで披露

 伊東市八幡野の創作工芸師田中健一さん(56)はこのほど、「伊東子供お能教室」を主催するNPO法人伊東市文化財史蹟保存会(堀口武彦理事長)に、子ども用の能面2枚を無償提供した。いずれも伊東を舞台に源頼朝とロマンスを繰り広げた祐親の娘・八重姫をイメージした能面で、5月19、20の両日催される「伊東祐親まつり」の水上能舞台で初披露される。

 田中さんは昨年の同舞台を鑑賞した際、子どもが使用している大人用の能面に違和感を覚えた。そこで堀口理事長らに「少しでも子どもたちに合った能面を自分が作りたい」と提案したという。

 材料は能面に最適とされる高級木材の「木曽ヒノキ」を使用した。のこぎり、のみ、彫刻刀といった専門的な刃物を使い、木片から丁寧に彫った。表面は胡粉(ごふん)、岩絵の具などで色付けし、裏面には漆などを塗って仕上げた。サイズは長さ19センチ、幅13センチ、厚さ6・5センチ、重さは約80グラム。大人用に比べ約1割小さく、3割ほど軽量化したという。制作期間は構想を含め約4カ月。

 子ども代表の堀口和泉さん(伊東北中3年)は感謝し、「お面を大切にし、これからも一生懸命稽古に励む」と誓った。田中さんは「若さや美しさと憂いの表情を出すのに苦労した。(能面の寄贈は)自分の子どもを送り出したような気持ち。子どもたちの能舞台とともに、自分の能面が成長してくれたらうれしい」と期待している。

 【写説】八重姫をイメージした子ども用の能面を寄贈する田中さん(右)=伊東市東松原町の東海館