眼鏡を制作する夏季さん=伊豆の国市田京のメガネのタニグチ

 ■3代目、手作りの良さ継承 ファッション性重視を提案

 日本のショップでおそらく唯一というメタルフレーム眼鏡を手作りしている「メガネのタニグチ」(伊豆の国市田京)の社長に、女性では珍しい眼鏡職人の谷口夏季さん(30)が就任した。「長く使ってもらうために少しでも快適な眼鏡を提供していきたい」と意欲的だ。

 同店は、1947年に祖父・久二さん(故人)が始めた。昨年10月に創業70周年を迎えたのを機に、3代目の夏季さんが社長に就いた。眼鏡職人で前社長の父・晴俊さん(67)も引き続き同店で働き、夏季さんをサポートしている。

 晴俊さんの“DNA”を引き継ぐ夏季さんは、高校生のときに1作目となる眼鏡を制作した。「物作りが好きで自分のを作ってみたかった。形になってうれしかった」と振り返る。大学卒業後は家業を継ぐか、医療の道に進むか迷ったといい、1年間、視能訓練士として眼科で働き「眼鏡の方をやりたい」と7年前に同店に戻ってきた。

 メタルフレームは丈夫で劣化しにくく、修理しやすいのが特徴。子どもの弱視治療用として十数年前に、晴俊さんが開発した。金属が値上がりする中、料金は当時のまま。永久保証付きで、顔の成長に合わせ左右のレンズをつなぐブリッジの付け替えなどのメンテナンスを無償で行っている。

 夏季さんは本場・福井の職人から技術を学ぶなどしながら、これまでに200~300本の眼鏡を製作してきた。1本作るのにかかる時間はおよそ1週間。「父が作ったと思っている客もいるのが悩み」と笑う。金属が硬いため、力加減や切断が大変だという。

 医療従事の経験も生かしながら若い女性ならではの視点で、新しい息吹も吹き込む。フレームの形や色を変えたり、ビーズを組み込んだりと、ファッション性を重視した眼鏡を提案している。夏季さんは「(眼科で働くのと比べ)より近くでいいものを提案できてうれしい。手作りフレームの良さを皆さんに知ってもらいたい」と目を輝かせる。

 【写説】眼鏡を制作する夏季さん=伊豆の国市田京のメガネのタニグチ