狩野川に流れ込む農業用水路(右)の高低差を活用した新たな「小水力発電所」=伊豆市月ケ瀬

 ■5.5キロワットの小出力、高低差活用

 伊豆市の月ケ瀬区で9月、狩野川に流れ込む農業用水路(高低差13メートル)を活用した、新しい形の「小水力発電所」が稼働し始めた。発電出力は5・5キロワットと、小水力発電の中でも非常に小規模ながら、身近にある農業用水路に着目した点が珍しく、関係者は「この規模で事業化される案件は恐らく国内で初めて。環境に優しいだけでなく、災害や非常時の備えとして、伊豆半島に限らずいろいろな場所で活用が広がればうれしい」と期待を込めて語った。

 地元月ケ瀬区の山本秀利前区長が仲介し、仕組みや詳細な設計を沼津市にあるシステムエンジニアリング業者が手掛けた。さらにスポーツ選手や芸術家らのマネジメント業に携わるジャパン・グローバル・アソシエーション(東京都)が投資することで、実現した。

 場所は伊豆慶友病院の入り口付近で、近くの狩野川に落ちる農業用水の高低差を有効活用。水の勢いを利用して発電機を回し、東京電力パワーグリッドに売電する。

 365日、昼夜を問わず安定的に発電できる小水力発電のメリットを生かし、毎日、約10世帯分の電力を生むという。

 同区とは「災害時の電力利用に関する協定」も締結。緊急災害時は売電を停止し、住民らに電力提供し役立ててもらう。防災備品購入費としても一部寄付する。

 山本前区長は「水という、どこにでもあるものから何かを生み出し、地域のメリットにつなげるのが願い。今後、いつ災害が起こるか分からない今の時代だからこそ、この設備が活躍すると思う」と実感を込めて語った。

 【写説】狩野川に流れ込む農業用水路(右)の高低差を活用した新たな「小水力発電所」=伊豆市月ケ瀬